【SAP】実地棚卸のプロセスについて解説【MM】

\\SAPをやる前に業務の理解を!//

SAPコンサルタントは、ユーザ(現場担当者)と同じ目線で会話できることが求められます。 本書で、経理業務をひと通りインプットしておくことをお勧めします。

【本書の構成】
第1章 販売 
第2章 原価・購買 
第3章 固定資産管理 
第4章 資金管理 
第5章 給与計算 
第6章 経費 
第7章 有価証券管理 
第8章 決算 
第9章 連結決算 
第10章 財務報告

実施棚卸のプロセスについて解説します。

実地棚卸とは

実地棚卸(Physical Inventory)は、倉庫や保管場所に存在する物理的な在庫数量と、SAPシステム上の帳簿在庫との整合性を確認し、差異がある場合は帳簿在庫を実在庫に合わせる形で修正する業務のことである。

実地棚卸の主な目的

  • 帳簿(SAP)在庫と実在庫の整合性を保つ
  • 財務諸表上の在庫評価の正確性確保
  • 不正や在庫ロスの検出
  • ISO、監査などのコンプライアンス対応

実地棚卸のプロセス

①:棚卸伝票の作成

実地棚卸を実施するプラント・保管場所の品目に対して棚卸伝票を作成する。

MI01では手動で1品目ずつ指定して個別登録する必要があるが、MI31ではプラントや保管場所などの条件を選択画面で指定し、一括で複数品目に対して棚卸伝票の登録が可能。

■Tr-cd
<個別登録>
MI01:実地棚卸伝票登録
<一括登録>
MI31:実地棚卸伝票(特殊在庫なし)の選択済データ

棚卸伝票ヘッダ

棚卸伝票明細

②:棚卸伝票印刷・実地棚卸

必要に応じてMI21より棚卸伝票を印刷し、棚卸伝票を参照しながら工場や倉庫などにおいて実地棚卸を行う。

■Tr-cd
MI21:実地棚卸伝票印刷

③ :実地棚卸結果を基に検数入力

②で実施した実地棚卸結果をもとに、検数(=実在庫の数量)をMI04より棚卸伝票に入力する。なお、MI09では棚卸伝票の作成と検数入力を同時に行うことが可能。

■Tr-cd
<棚卸伝票あり>
MI04:棚卸件数入力
<棚卸伝票なし>
MI09:棚卸検数入力(伝票参照無)
<検数変更>
MI05:棚卸検数変更

④:棚卸差異の転記

実在庫と帳簿在庫の数量に差異がある場合に、MI07より棚卸差異転記を行い帳簿在庫を実在庫に合わせる。複数の棚卸伝票を一括で処理したい場合はMI37を使用することが可能。

また、MI08より棚卸伝票に対して検数入力と棚卸差異転記をまとめて実施することも可能。

棚卸差異転記を行うと、自動で入出庫伝票が作成され在庫数量が更新される。また、下記のFI仕訳が計上される。

■仕訳例
<在庫評価額>
100 ※コ1あたり
<数量>
実在庫:10コ
帳簿在庫:8コ
<FI仕訳>
棚卸差損 200 // 在庫(棚卸資産) 200
※実在庫と帳簿在庫数量が逆の場合は下記仕訳となる
在庫(棚卸資産) 200 // 棚卸差益 200
■Tr-cd
<個別処理>
MI07:棚卸差異転記
<一括処理>
MI37:バッチインプット:差異決済
<検数入力なし>
MI08:棚卸検数および差異の転記

Tr-cd:MI11(再検数入力)より棚卸伝票をコピーして新規棚卸伝票を作成し、棚卸業務をやり直すことも可能。

補足:レポート関連

MI20:棚卸差異一覧

棚卸伝票の明細毎に帳簿数量と検数済数量、差異数量および差異額等を確認するためのレポート。また、検数入力画面や差異転記画面にも遷移することが可能。

項目値(例)
実棚伝票A00000001
明細1
品目A-001
ロット
プラント1000
保管場所Z001
帳簿数量100
検数済数量103
差異数量-3
基本数量単位PC
差異額-3,000
通貨JPY
特殊在庫

MI24:実地棚卸一覧

棚卸伝票の明細毎に実地棚卸ステータス等を確認するためのレポート。また、検数入力画面や差異転記画面にも遷移することが可能。

項目値(例)
実棚伝票A00000001
明細1
品目A-001
ロット
プラント1000
保管場所Z001
実地棚卸ステータス検数済
特殊在庫
在庫タイプ利用可能

棚卸差異転記の自動仕訳(OBYC)設定

棚卸差異転記に関連する自動仕訳(Tr-cd:OBYC)設定は下記の通り。

内部処理キー勘定修正キー設定する勘定
BSX棚卸差異で増減した在庫勘定
GBBINV棚卸差異の差損益勘定

内部処理キー”BSX”は、「評価クラス×勘定科目」単位で設定するが、ひとえに在庫といっても原材料や半製品、製品などの粒度で設定されることが多い。

また、内部処理キー”GBB”は、「勘定修正キー×評価クラス×借方・貸方勘定科目」単位で設定するが、勘定修正キー”INV”については借方に棚卸差損、貸方に棚卸差益を設定することが多い。(勘定を分けずに借方・貸方いずれも棚卸差異で設定するケースもある)

関連移動タイプ

差異転記によって計上される入出庫伝票のSAP標準の移動タイプは下記の通り。

移動タイプテキスト
701棚卸増(利用可能在庫)
703棚卸増(品検在庫)
707棚卸増(保留在庫)
702棚卸減(利用可能在庫)
704棚卸減(品検在庫)
708棚卸減(保留在庫)

関連テーブル

テーブルIDテキスト説明
IKPFヘッダ:実地棚卸伝票棚卸伝票のヘッダ
ISEG実地棚卸伝票明細棚卸伝票の明細
MKPFヘッダ:入出庫伝票入出庫伝票のヘッダ
MSEG伝票セグメント:品目入出庫伝票の明細
MARD品目の保管場所データ品目×プラント×保管場所単位の在庫数量
MBEW品目評価品目×プラント単位の在庫金額

関連トランザクションコード

区分Tr-cdテキスト
棚卸伝票登録MI01実地棚卸伝票登録
棚卸伝票登録MI31実地棚卸伝票(特殊在庫なし)の選択済データ
棚卸伝票登録MI02実地棚卸伝票変更
棚卸伝票登録MI03実地棚卸伝票照会
棚卸伝票登録MI21実地棚卸伝票印刷
検数入力MI04棚卸検数入力
検数入力MI05棚卸検数変更
検数入力MI06棚卸検数照会
検数入力MI09棚卸検数入力(伝票参照無)
検数入力MI11再検数入力
差異転記MI07棚卸差異転記
差異転記MI08棚卸検数および差異の転記
差異転記MI37バッチインプット:差異決済
レポートMI20棚卸差異一覧
レポートMI24実地棚卸一覧

以上。

SAP初心者・中級者にはコレ!

SAPコンサルタントとして長年にわたり複数のPJに携わってきたプロによる一冊。

 

本書では宅配ピザ屋を例に、会社の業務とそれに紐づく各SAPモジュールの説明が丁寧にされており、この一冊で体系的に業務とSAPの基礎知識を身に付けることが可能です。

 

これからSAPの業務に携わる人や、改めてSAPの全体観を把握したい人など、初心者~中級者まで自信を持っておすすめします。

SAP転職なら! LINE追加で気軽に相談▼

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です