収益性分析におけるトップダウン付替について解説します。
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トップダウン付替とは
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トップダウン付替とは、特定の配賦基準に基づいてCOPAデータの収益性分析セグメントを付け替える処理のことを指す。
収益性セグメントとは
収益性分析セグメントは、COPAデータをどの切り口で集計・分析するかを決定するためのキー項目で、SAPでは一般的に「特性」と呼ばれる。
顧客、製品、地域、流通チャネルなど企業が集計・分析したい項目を「特性」として定義する。
下記の例では、「会社コード×得意先×品目」が収益性セグメント(特性)である。
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トップダウン付替の目的
トップダウン付替の目的は、収益性セグメントの特性値を付与できない費用/収益などに対して、特定の配賦基準に基づいてより下位のレベルに特性値を付与することが目的である。
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■例 1台のトラックに下記得意先に対して出荷する下記品目を積んで、輸送した際にかかった費用を10,000円とする。 <得意先> Z01 / Z02 / Z03 <品目> スマートフォン / デジタルカメラ / パソコン この場合、具体的にどの得意先×どの品目に対していくらの費用がかかったのか特定ができないため、COPAデータの得意先・品目の特性値はブランクとなる。 しかし、COPAデータの分析・集計は得意先×品目の粒度で実施したいため、トップダウン付替によって、COPAデータに得意先・品目の特性値を付与する必要がある。
トップダウン付替のイメージ図
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トップダウン付替のイメージは上記図の通りである。
付替前データには、得意先・品目に特性値が付与されていない状態。
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「会社コード×得意先×品目」毎の売上高を配賦基準とする。
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トップダウン付替を実行すると、付替前データを相殺する取消データが作成される。また、配賦基準(売上高)に基づいて、費用10,000円が付け替えされ、得意先×品目に特性値が付与される。
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トップダウン付替で使用するトランザクションコード
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データ区分 | Tr-cd | 説明 |
実績 | KE28 | トップダウン付替(実績)実行 |
実績 | KE29 | トップダウン付替(実績)取消 |
計画 | KE1G | トップダウン付替(計画)実行 |
計画 | KE1C | トップダウン付替(計画)取消 |
KE28は、COPAの実績データを付け替えするためのトランザクションコードである。
選択画面の各項目を入力したら、実行ボタンを押下する。なお、バックグラウンドでの処理も可能。
選択画面
選択画面で指定した設定は、バリアントとして保存が可能。
同じ設定をすぐに呼び出したい場合や、ジョブ実行に使用したい場合などに便利。
第一画面
第一画面では、下記項目を指定する。
■実績データ <開始期間> 付替対象データの会計年度/期間。 <レコードタイプ> 付替対象データのレコードタイプ。 ※A:受注伝票 / B:FIからの直転記 など ■参照データ <開始期間> 配賦基準データの会計年度/期間。 <計画データ/実績データ> 配賦基準に計画・実績データをどちらを使用するか選択。 <バージョン> 配賦基準データのバージョン。 実績データはブランク、計画データは対象バージョンを入力。 <レコードタイプ> 配賦基準データのレコードタイプ。 ※A:受注伝票 / B:FIからの直転記 など <期間累計> 期間累計された配賦基準データが付替に使用される。 ※チェックなしの場合は、月ごとに集計された配賦基準データが使用される <レコードタイプ累計> 配賦基準データがレコードタイプ関係なくすべて集計される。 ※チェックなしの場合は、レコードタイプごとに集計される ■参照基準 <単一値項目 / 値項目使用> 配賦基準として使用する値項目を定義する。 単一値項目: 任意の値項目を画面より1つ指定 値項目使用: 付替対象データの値項目が使用される <マイナス値の処理> 配賦基準データがマイナス値の場合の扱い方を選択する。 マイナス値削除: マイナス値はゼロとする 値変更なし: 値の変更はなし スケール値: 最も小さいマイナス値をゼロとし他レコードに値を加算する
プロセス指示画面
プロセス指示画面では、各特性に対していずれかを選択する。
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<項目名/名称> 特性の技術IDと名称。 <付替レベル> 付替先とする特性を選択する。 <値コピー> 付替元とする特性を選択する。(特性値は変更されない) <値集計> 付替先対象としない特性を選択する。 上記の例では、会社コードレベルのデータが得意先・品目のレベルで付け替えされる。
選択基準画面
選択基準画面では、処理対象としたいCOPAデータを指定する。例えば、下記の場合は会社コード”1000″のデータのみが処理対象となる。
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値項目画面
値項目画面では、付替対象の値項目を選択する。
これまで紹介してきたケースでは「費用」が付替対象の値項目であるため、「費用」の値項目にチェックをつける。
※ここでは値項目003を「費用」とする
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以上。
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