【会計】製造原価報告書とは|製造原価を明らかにする財務諸表【SAP-FI】

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SAPコンサルタントは、ユーザ(現場担当者)と同じ目線で会話できることが求められます。 本書で、経理業務をひと通りインプットしておくことをお勧めします。

【本書の構成】
第1章 販売 
第2章 原価・購買 
第3章 固定資産管理 
第4章 資金管理 
第5章 給与計算 
第6章 経費 
第7章 有価証券管理 
第8章 決算 
第9章 連結決算 
第10章 財務報告

製造原価報告書について説明します。

製造原価報告書とは

製造原価報告書は、一定期間における製品の製造活動に伴う原価を体系的に集計した財務諸表のこと。

主に製造業で利用され、企業の製造プロセスや原価管理を詳細に把握するために使用される。

製造原価報告書用途・目的

  1. 原価の透明性向上
    製造にかかるコストを詳細に明らかにし、経営層への報告や監査に対応。
  2. コスト分析と管理
    原価構造を把握し、不採算製品やコスト削減ポイントを特定。
  3. 損益計算書の基礎データ
    損益計算書の「売上原価」の計算基礎を提供し、利益計算の正確性を担保。
  4. 価格戦略への活用
    製品ごとの製造コストを基に、適正な販売価格を設定。
  5. 税務申告
    法人税申告の基礎資料として使用。

製造原価報告書と損益計算書の関係

製造原価報告書は、損益計算書の「売上原価」に該当する数値を算出する役割を持っている。

項目製造原価報告書損益計算書
目的製造活動に伴う原価を計算・報告する。企業全体の収益性を示す。
フォーカスする範囲製造プロセスに関連する直接的・間接的コスト。収益(売上)から費用を差し引いた利益。
具体的なデータ完成品原価を計算し、内部管理に活用。完成品原価を売上原価として計上。

関係

  1. 製造原価報告書
    • 製造にかかった直接費、間接費、仕掛品の増減を集計し、「完成品原価」を算出。
  2. 損益計算書
    • 製造原価報告書の「完成品原価」を「売上原価」として計上し、売上高との差分から粗利益を算出。

製造原価報告書のレイアウトと計算式

項目概要計算式例
1. 直接材料費製品製造に直接使われる材料の購入費用。購入材料費+運賃-返品金額
2. 直接労務費製品を作るために従事した作業者の人件費。時給 × 作業時間
3. 直接経費特定製品にかかる個別的な費用(外注費など)。外注費+特許料
4. 製造間接費工場運営や設備維持にかかる共通費用。光熱費+工場賃料+管理者給与
5. 当期総製造原価当期で製造に使用した費用の合計。直接材料費+直接労務費+直接経費+製造間接費
6. 期首仕掛品棚卸高前期末から繰り越された(期首時点の)仕掛品原価。前期末仕掛品原価
7. 期末仕掛品棚卸当期末時点の仕掛品原価。当期未仕掛品原価
8. 当期製品製造原価当期で製造した製品の原価。総製造原価+期首仕掛品棚卸高-期末仕掛品棚卸高

レイアウト例

以下に具体的なレイアウトの例を示す。

【製造原価報告書】  
対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日  

1. 直接材料費              2,000,000円  
2. 直接労務費              1,200,000円  
3. 直接経費                  300,000円  
-----------------------------------------------------  
  合計(直接費)          3,500,000円  

4. 製造間接費                800,000円  
-----------------------------------------------------  
  当期総製造原価              4,300,000円  

5. 期首仕掛品棚卸高        500,000円  
6. 期末仕掛品棚卸高       (600,000円)  
-----------------------------------------------------  
  当期製品製造原価              4,200,000円  
-----------------------------------------------------

製造原価報告書の提出先

提出先としては下記が想定される。

  1. 内部提出先
    • 経営陣
      経営判断、コスト削減施策の基礎資料として使用。
    • 製造部門
      生産効率向上の指針として使用。
    • 財務部門
      損益計算書や資金繰り管理に使用。
  2. 外部提出先
    • 税務当局
      税務申告時に原価データとして使用。
    • 監査法人
      財務諸表監査時の裏付け資料として使用。
    • 株主・投資家
      会社のコスト管理能力や競争力を示す資料として使用。

以上。

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